タイポグラフィ7つのルール その❼ 「ひらく」ことは読者の目と心への思いやり

TYPOGRAPHY RULES

タイポグラフィ7つのルール その❼ 「ひらく」ことは読者の目と心への思いやり

タイポグラフィ7つのルール ❼ ひらく
▼1回完結(通算第24回)

前回までは、タイポグラフィに関する直接的なテクニックや、アプリケーションの使用法・知識などについてお話ししてきました。一通り大事なところには触れることができたかな、と思います。でも、かなり長いものになってしまいました。

今回が最後です。ここでは、あまり触れられることがないであろう、間接的な部分。説明されなければたぶんわからないだろうと思われること。でも、深層心理に訴えかける極めて重大なこと。を、お話ししていきます。

1回完結
通算第23回:最終回
もくじ
7.1 「ひらく」ことの大切さ
7.2 クライアントの了承を得る
  7.2.1 ●ていねいな説明を
  7.2.2 ●独自の判断でさらに広い範囲に

7.1 「ひらく」ことの大切さ

漢字をひらがなに変換することを「ひらく」といいます。難読漢字、画数の比較的多い漢字、表現が古い言い回し、堅苦しい言い回しに使われている漢字などを「ひらく」ことにより、見た目がソフトになり、読みやすくなります。これも重要なタイポグラフィ要素なのです。

このブログは、それを意識して書いています。一般のサイトよりひらがながかなり多いことにお気づきでしょうか。おそらく10~15%くらい多いかも知れません。決して変換ミスでも漢字を知らないわけでもありません。

一般的な雑誌の編集現場、企業サイトなどで推奨されている、「ひらく」ほうが良い代表的な漢字は次の表のとおりです。
でも、その前に大事なことをーー。

7.2 クライアントの了承を得る

誤解のないようにいっておきます。
前章「くむ」の中でも触れましたが、文章そのものに手を加える行為と、この章「ひらく」という行為は、デザイナー自身でキャッチコピーを考え、文章なども自分で書く場合に限定されます。

編集の常識(モラル)として、デザイナーは支給されたコピーなり文章なりを、勝手にいじることは自粛しなくてはなりません(たとえ、明らかに間違っていたとしても)。これをできるのは、作者(当たり前ですが)、編集者(エディター)だけです。

7.2.1 ●ていねいな説明を

でも、必ずしも間にエディターが介在する仕事ばかりではありません。グラフィックの場合は、エディトリアルと比べ扱う文章は圧倒的に少ないので、むしろエディターがいないほうが普通でしょう。
では、どうすべきか。「ひらく」ほうが絶対的に仕上がりがよくなるのです。ですので、クライアント(作者・依頼者)に事前に相談しましょう。ていねいに説明すれば、必ず伝わります。

くれぐれも、クライアントに無断で「ひらく」こと、手を加えることはやめてください。

生憎 あいにく ころ 通り とおり
敢て あえて 先程 さきほど とき
飽く迄 あくまで 様々 さまざま 何処 どこ
予め あらかじめ 更に さらに 何方 どなた
或いは あるいは 然し しかし 乍ら ながら
如何にも いかにも 既に すでに など
致します いたします 即ち すなわち 並びに ならびに
頂く いただく 全て すべて ほど
貴方 あなた 是非 ぜひ 先ず まず
色々 いろいろ そば また
及び および 其れ それ まで
下さい ください 沢山 たくさん 以て もって
くらい(ぐらい) ただ 尤も もっとも
御座います ございます 只今 ただいま かた・ほう
ご存知 ご存じ 但し ただし 何卒 何とぞ
こと ため

おおよそ、こんなリストになります。

7.2.2 ●独自の判断でさらに広い範囲に

このブログでは、さらに私の独自の判断で「ひらいている」文字もかなりあります。たとえば、あっ、いま使いましたね。「例えば(たとえば)」「今(いま)」「言う(いう)『言い回し』は例外」「方々(かたがた)」「付く(つく)」「分かる・判る・解る(わかる)」「出来る(できる)」「出る(でる)」などです。その他、難しい漢字は徹底して排除しています。

ですので、本当にひらがなが多いブログとなっています。基準はといわれると明確なものはありません。あえていうなら、フィーリングでしょうか。(こんないい加減でいいのかな?…)

あとがき

以上で、この特集記事 “デザインが100%うまくなるタイポグラフィ7つのルール” は一段落となります。

初回のアップから2か月以上経ってしまいました。ブログのセオリーからは完全に外れたものになってしまいましたが、最後まで読んでいただいたことに感謝します。最後までお読みいただき、実践されたかたは、タイポグラフィの力が相当ついているはずです。どうか、お仕事に存分に役立ててください。

● ● ●

最後に、あらためて終了のごあいさつをさせてください。よろしかったら、ちょっとだけ下にスクロールしていただけますか?

 

 

おわりに

おわりに

●危険を冒しても伝えたかった思い

いかがだったでしょうか。最初予想していたより、だいぶ分量が多くなってしまいました。あれを書き忘れた、これは説明が足りない、など、推敲を重ねるうちに、どんどん増えてしまいました。

一般に、ウェブページは、真剣に読まれないということがいわれます。確かに、私自身も、よほど興味があるか、必要に迫られない限り流し読みになります。それがウェブページなのかも知れません。

ですから、これだけ長いものになってしまって、実はとても恐ろしいのです。だれも読んでくれないのではないかと…。でも、どうせだったらかゆいところに手が届くようなものにしたかったのも事実です。

●良い意味の恐ろしい結果を生むタイポグラフィの習得

「はじめに」でもいいましたが、タイポグラフィルールを「適切」に取り入れれば、デザインは確実に「100%」うまくなります。
若い後輩たちを指導(指導などとはおこがましいのですが)するとき、難しいデザイン理論は使いません。ただ、タイポグラフィは厳しく教えます。タイポグラフィ以外はあまり教えないといってもよいかも知れません。

結果ははっきりしています。デザインの能力は急激に伸びます。

●怖いものは何もなくなるタイポグラフィの知識と実践

タイポグラフィはデザイン理論の中でも、難しいほうかも知れません。でも、厄介な「文字を扱う」ということを克服して苦にならなくなると、他の能力を生かす大幅な余裕がでてきます。タイポグラフィルールを身につければ、もう怖いものは何もないのです。

長い間のご愛読、おつき合いに、ただただ感謝いたします。ありがとうございました。

● ● ●

この特集記事のふり返り

Prologue はじめに
その❶ そろえる 美しさの基本は「そろえる」にある
その❷ つめる 和文の美しさのカギは「つめる」こと
その❸ あける 息苦しいデザインの回避法は「あける」こと
その❹ たす 強調・複合などを盛り込む「たす」要素
その❺ ひく 「ひく」ことは、すべてがマイナスではない
その❻ くむ 細心の注意を払うべき大切な「くむ」こと
その❼ ひらく 「ひらく」ことは読者の目と心への思いやり
Epilogue おわりに

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