デザインが100%うまくなるタイポグラフィ7つのルール:はじめに

TYPOGRAPHY RULES

デザインが100%うまくなるタイポグラフィ7つのルール Prologue

はじめに

タイポグラフィ
文字表現のデザイン処理のことをいいます。情報伝達に適合した、スペース、書体、大きさ、字間、字数、行間、行数などの選定だけではなく、注目度、可読性、美しさなどへの総合的な配慮を必要とする重要な技法です。
また、文字や記号などを中心とした二次元的表現を称することもあります。さらに、写真をも加えた構成的なグラフィックデザイン全体を指し、一般のデザインと同義語のように用いられることもあります。

この記事の構成

この記事は、下の「もくじ」にも表示したとおり、7つの章からできています。一つひとつの章をていねいに書いているため、かなりの長さになっています。簡潔で明瞭というブログのセオリーからすると、完全に逸脱しています。もしかしたら誰も読んでくれないかも知れません。

それでも敢えて長さにこだわったのは、読者のみなさんが、デザインや、タイポグラフィの技量を確実にアップしていただけるように、という強い願いからなのです。

この記事を、仮に「講座」としましょう。1ページに「1講座」。合計「24講座」で構成しています。当然、いちどきにすべてを掲載することは、さすがに私にとってキャパオーバーになってしまうのでご勘弁を…。週1回更新(毎週火曜日午後8時から9時のあいだ)、全7週で終了となります。

今回の、「その❶」をお読みになってご判断いただければ、と思います。私は7週分すべてお読みいただき、実戦されることを熱望します。実際の仕事に使ってみてください。1回ずつの「講座」で確実に技量が伸びていくはずです。そうなるように書いていきます。

この記事のおおまかな内容(もくじ)

Prologue はじめに
その❶ そろえる 美しさの基本は「そろえる」にある
その❷ つめる 和文の美しさのカギは「つめる」こと
その❸ あける 息苦しいデザインの回避法は「あける」こと
その❹ たす 強調・複合などを盛り込む「たす」要素
その❺ ひく 「ひく」ことは、すべてがマイナスではない
その❻ くむ 細心の注意を払うべき大切な「くむ」こと
その❼ ひらく 「ひらく」ことは読者の目と心への思いやり
Epilogue おわりに

●書体デザイナーの立場で

「PROFILE」を見ていただいたかたは、私が書体デザイナーだという認識をされていると思います。
書体のデザインをしていると、デザインのさまざまなルールやセオリーが、この仕事には詰まっていることに気づかされます。

文字をつくる仕事をしていると、印刷物を見ても Web を見ても、テレビドラマや CM を見ていても、文字がいかに美しく使われているかが、自分の基準であることに半ば愕然とするときがあります。いわゆる職業病というやつです。

その目で見ていくと、特にグラフィックの分野で、「?」や「?!」のつく制作物が多いなぁという気がします。何とかしなきゃなぁとも思います。そんなことがきっかけでこのブログを立ちあげました。

●悩みを解決する一助になれば…

必要に応じて、エディトリアルのこと、Web のこと、そして印刷のことにも口を挟んでいきます。
このタイポグラフィルールは、基本的にはグラフィックデザイン(紙媒体)の初心者のかたに向けてお話ししていきます。そして、自分のデザインに伸び悩みや行き詰まりを感じて悩んでいるかたにも…。

ここでお話しすることは、初心者向きとはいっても、デザインにとって極めて普遍的で重要なことばかりです。かなりこと細かに説明していきます。専門用語はなるべく使わず、使っても極力解説を加えるよう心がけています。多分、ここまで細部にわたって説明したサイトはないのではないかと自負しています。

こんなことまで必要なのか、といわれてしまうような部分もあるかと思います。遠慮なくスルーして、役に立ちそうなところだけ拾い読みしていただいて結構です。ただ、タイポグラフィに関しては、「通り一遍の知識でやり過ごして欲しくないな」という気持ちもあります。

ひとつお願いしておきます。どうかついてきてください。

●Illustrator の説明もします

デザインの実務をしていく上で、必要なアプリケーションはいくつか存在しますが、使い勝手という面、商業印刷に適しているという点で群を抜いている Adobe Illustrator を使用してお話しを進めていきます。
ですので「こんなことは知ってるよ」というかたは、その部分もスルーしてください。

「Illustrator より InDesign のほうが便利だよ」というかた、ご容赦を。InDesign については、大石十三夫さん(なんでやねんDTP)という有名な凄いかたがいらっしゃるので、そちらに譲ります。

さて、

デザインをしていく上で何よりも大事なこと、それは、文字をどう適切に扱うかということです。
良い写真を使うとか、きれいなイラストを使うといった、一般的なデザイン構成要素のはるか上をいく、実はとても重大なことなのです。

ところが、この国のデザイン教育は、タイポグラフィを極めて軽く扱っています。教育に割かれる時間的割合が驚くほど短いため、その重要性がわからないまま卒業ということになっているようです。これでは、優秀な人材は育ちません。
デザインの能力をある程度までは伸ばせても、必ず行き詰まりがきます。その行き詰まりの原因が、タイポグラフィの未熟さにあることに「気づけない」ことが、あまりにも多いのです。

●タイポグラフィはデザインルールのかなめ

タイポグラフィには、一定のルールがあります。敢えて、日本語で法則性といったほうが、重要度が伝わるかも知れません。
つまり、法則性である以上、これを適切に取り入れれば、デザインは100%良くなるということです。

ここで紹介する7つの代表的なルールは、デザイン上極めて重要な要素です。当然ながらデザイン全般の基本にも通じていくものです。
繰り返しますが、タイポグラフィルールは、たとえ真似ごとであっても、真摯に取り入れさえすればデザインは100%良くなります。

文中、「適切」という表現を使っているところが随所にでてきます。
これは、数値や言葉で表現できない部分のことをさしています。デザインが150%良くなるか、200%良くなるかは、この「適切」という抽象を、いかに自分なりの感覚として確立・具象化していくかにかかっています。

特記事項

●本文中の約物(括弧)の扱いについて
括弧類には、一定の意味を持たせています。本文中、
「 」は、強調やアクセントとしてなど、読み流さないよう、多く囲んでいます。
『 』は、上記「 」の中に重複して「 」がきてしまった場合の代用です。また、単独で特に強調したい場合に使用しました。
[ ]は、Illustrator および Photoshop のメニューツール上にでてくる単語を囲んでいます。
( )は、直前の単語の補足説明として囲みます。
〈 〉は、上記( )の中に重複して( )がきてしまった場合の代用です。
 “ ” は、この記事内のタイトル名・外部の文章などを引用・紹介した場合に囲んでいます。
〔 〕は、微妙なニュアンスを表す場合に使用しました。
【 】は、約物を囲んで、文章の一部に間違われないために使用しました。

●用語の使いわけについて
本文中、また図の解説中、「欧文」は、欧文フォントを指し、単語、文章を表現していないもの、「英文」は、単語、文章を表現するもの、と区別しています。

●図表のキャプションについて
図表に添えてあるキャプションは、少し小さくて見づらいかも知れません。同文を図表直下にコラム形式で再掲載しました。Description は再掲載してありません。

●例文の使用について
多数の例文を使用していますが、ほとんどは、私の「文字随想」(当ブログ内記事)を使っています。例外として、“賢者の贈り物”(O・ヘンリー 著)の和文と英文、“レーリー卿(Lord Rayleigh)”(寺田寅彦 著)の和文(いずれも著作権切れ)を使用しました。著者に改めて感謝の意を表します。

●画像の使用について
ほとんどを、写真AC、イラストAC(ACワークス株式会社)・pixabay のクオリティの高い無料素材を使用させていただいています。サイト管理者、登録クリエーターのかたがたに改めて感謝の意を表します。

●内容の信憑性について
内容については、慎重に検証を行いながら記述しています。が、「PROFILE」でも述べているとおり、経験則からきているものがほとんどであり、デザイン理論と異なる場合があります。
Illustrator の操作法、およびダイアログの説明も、検証を行いながら万全を期していますが、説明不足であったり、私の認識違いだったりする場合もあるかも知れません。

●責任の所在について
内容には万全を期していますが、このブログを参考にして、実際の仕事に使用したことで起きた事象については、当方は一切責任を負いません。すべて、自己責任でお願いいたします。

●著作権について
このブログの文章および図表には「著作権」が発生しています。なにより執筆・制作には、相応の時間がかかっています。無断転載はお止めください。

● ● ●

次回から本編に入ります。第1回目は “タイポグラフィ7つのルール その❶ 美しさの基本は「そろえる」にある” です。ご期待ください。下の画像のクリックを!

次回予告 その❶ そろえる 美しさの基本は「そろえる」にある

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